夫婦の財産はどうやって分けるか?
離婚する際には、それまで夫婦で築き上げてきた財産や所有物を夫婦それぞれに分けなければなりません。離婚を契機に元夫と元妻との間で、財産や所有物を分けることを財産分与と言います。
早く離婚したいという気持ちが強い場合には、財産分与について、十分な話し合いをせずに離婚してしまう場合も多々見られます。しかし、財産分与をしないまま離婚をするのは、離婚で解決すべき問題の解決を先送りしているにすぎません。
後になって揉めないためにも、お互いがそれぞれ新しい道を歩んでいくためにも、経済面での清算もきちんと行いましょう。財産分与の目的は、それまで夫婦が協力して築き上げてきた財産を公平に分配することです。
分与の割合はどのように決めるか?
不動産や預貯金など、自分名義のものは離婚後も自分のものだと考えてしまいがちです。しかし、どちらの名義であるかということだけで判断してしまうと、分与の割合が一方に偏ってしまうことも多く、公平な清算になりません。
基本的には、夫婦で築き上げてきた財産と所有物を名義に関わらず全部、財産分与の対象財産したうえで、財産形成に対する貢献度によって決まるという考え方が取られています。ではどうやって貢献度を決めるのでしょうか。
夫が働いて得た収入で家計を支え、妻は家事に専念して生活を支えているという場合も多く見られます。夫婦共働きの場合にも、家事や子育てによって勤務形態が制限されるということもあるでしょう。これらの事情を考慮して、財産形成に対して、どちらがどれだけ貢献したかを明確に判断するのは非常に難しい問題です。
そのため、これまでの裁判例では、共働きで収入の差が多少あっても、5:5として認める傾向にあり、また、妻が専業主婦であっても、家事労働も評価の対象として、5:5として認められる傾向にあります。原則として、2分の1ずつ分けるものだと考えておけばよいでしょう。
どんな財産が分与の対象になる?
財産分与の対象となる財産
共有財産(名実ともに夫婦の共有に属する財産)
<例>夫婦共有名義の土地やマイホーム
夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産は、共有財産と推定されます(民法762条2項)。
実質的共有財産(名義は夫婦の一方に属するが、夫婦が協力して築き上げた財産)
<例>夫婦一方の名義の預貯金、株、不動産や自動車
財産分与の対象とならない財産
特有財産(名実ともに夫婦の一方が所有する財産)
<例>夫婦の一方が結婚前に貯めていた預貯金や結婚前に購入していた家具
結婚後に親兄弟から夫婦の一方に贈与されたものや相続財産